転職準備

機械設計職の平均年収は?業界・年齢別に徹底比較【2025年版】

「機械設計エンジニアの年収相場はどれくらい?」「今の給料は適正?それとも安すぎる?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

機械設計職の平均年収は600万円(厚生労働省調査)で、全業種平均より約100万円も高い水準です。しかし、企業規模や業界によって年収には大きな差があり、戦略的なキャリア形成で年収1000万円超も十分可能です。

  • 機械設計職の平均年収と他職種との比較
  • 中小企業と大企業の年収比較
  • 残業との関係や労働時間のリアル
  • 年齢による年収の傾向
  • 転職やスキルアップで年収を上げる方法

転職で年収700万から年収1200万に年収アップを成功させた、私自身の経験も交えて解説します。

機械設計業界の平均年収500万〜600万円

ソース名機械設計業界の平均年収全業種平均
厚生労働省 jobtag600万円前後約460万円
doda500万円前後約410万円
マイナビ転職550万~600万円440~460万円

機械設計エンジニアの平均年収は、調査機関によって若干の差はあるものの、500万〜600万円の範囲に収まります。厚生労働省「jobtag」では600万円、dodaでは500万円、マイナビ転職では550万円といった結果が報告されています。

全業種の平均年収410~460万円と比較して、機械設計業界の平均年収500万〜600万円明らかに高いことが分かります。

私には建築・土木、自動車ディーラーや、工場組み立て作業者など、さまざまな業種で就いている友人がいますが、彼らと比べても私の年収は高い水準にあります。

年収が高い主な理由

機械設計職の年収が比較的高い背景には、いくつかの要因があります。

機械設計職は、力学・CAD・材料知識など高い専門性が求められる職種です。
IoTやAIなどの技術革新に対応できることも、高単価の条件となります。
スキルや成果が明確に評価されやすく、収入へ直結しやすい点も特徴です。

理系大学や高専出身者が多く、全体の学歴水準が高いことも年収に影響しています。

実務経験や業界、企業規模によっても年収は大きく異なりますが、モノづくりの中核を担う専門職として、他職種よりも高い水準が期待できるのが機械設計の特徴です。

平均年収がサイトごとに違う理由は「調査基準の差」

調査対象の違い

厚生労働省の調査は全国規模の統計調査に基づいており、無作為抽出のため、より信頼性の高い結果となります。

求人サイトの調査は求人票の募集年収に基づくため、一部の企業によっては実際の支給額と乖離する場合があります。

口コミサイトの調査は登録者のデータに基づくため、リアルな平均年収や転職市場の傾向を反映しますが、書き込み量によって偏りが生じるため正しい年収が表示されない可能性があります。

企業規模の偏り

一部のサイトは大企業の求人が多く、高年収が報告される傾向にあるのに対し、中小企業中心のデータでは平均年収にバラつきがあるため、募集時期や募集目的によっては平均年収が低くなる場合があります。

職種定義の違い

機械設計エンジニア、CADオペレーター、設計補助などを含むかで平均値が変動してしまいます。
経験年数や職位によっても同様に、分類によって平均年収が大きく変動することがあります。

企業規模や業界分野(自動車・半導体・医療機器など)によっても年収には差が出るため、転職や就職を検討する際には、自分のスキルがどの分野で活かせるかを見極めることが重要です。

機械設計エンジニアの年収は企業規模でどう変わる?

企業規模年収中央値年代別年収傾向
大企業700万円前後30代後半〜40代で急上昇
中小企業580万円30代前半〜中盤で頭打ち

大企業と中小企業では、大企業が約100万円程度高い結果となっています。

大企業では昇給制度が整備されており、役職や評価に応じた昇給が見込めます。一方、中小企業は実力主義で年収が決まる傾向があり、若手でも高年収を得られる可能性はあるものの、上限はやや低めです。

私自身、従業員200名の中小企業から従業員3000名の大手メーカーに転職しました。

38歳で転職を決意したため「遅すぎるのでは?」と不安でしたが、 結果的に全業種平均年収の2倍以上という結果となりました。

年収を上げる方法の一つに『大企業』という選択肢も非常に有効です。

年収以外に見るべき「働き方」の違い

  • 残業時間:大企業は月20〜30時間が多く、過重労働の抑制傾向あり。中小企業は月40時間を超えるケースもあり。
  • 業務内容:大企業では分業が進んでおり専門性が高い。中小企業は広範囲を一人で担当することが多く、スキルの幅が広がりやすい。
  • 福利厚生:大企業は住宅補助・確定拠出年金・保養所など手厚い。中小企業は制度が限定的なケースもある。

筆者が経験した中小→大企業転職のギャップ

  • 良かった点:年収が700万→1200万円にアップ。教育制度や福利厚生も充実。
  • 悪かった点:上司との距離が遠く、些細な説明にも毎回資料が必要。スピード感よりも理論や根拠重視の文化

中小企業でスピーディーに設計を進めていた頃と比べ、大企業では承認プロセスや根回しが求められる場面が多く、カルチャーギャップを感じることもありました。ただ、組織的な設計力やナレッジの蓄積には大きな価値があります。

中小企業が必ずしも「劣っている」わけではない

年収だけを見れば大企業が優位ですが、中小企業ならではの魅力もあります。裁量の大きさ、スピード感、経営層との距離の近さなど、設計者として成長するうえで得がたい経験が積める環境も多いです。

転職時は「年収+働き方」で判断が必要

機械設計エンジニアとしてキャリアを築くなら、「年収」だけでなく「業務内容」「労働時間」「成長機会」といった多角的な視点で転職先を検討すべきです。大企業と中小企業にはそれぞれ違った魅力と課題があります。あなたのキャリアビジョンに合った企業選びを意識しましょう。

「残業が多いから年収が多い」は本当か?

「残業が多ければ年収も高いのでは?」と疑問に感じたことはありませんか?

一般的に「残業時間が多い=年収が高い」とは限りません。確かに残業代が基本給に上乗せされますが、基本給をベースに残業手当が算出されますので、残業代だけで年収を上げることは困難です。

機械設計業界の残業実態と他業界との比較

機械設計職は忙しいイメージがあります。実際に、年収と残業時間に関係があるのかを調べるため、他業界と比較してみました。

業界残業H/月平均年収コメント
機械設計20〜30560〜612万円繁忙期は増える傾向
ITエンジニア22.6460〜600万円プロジェクトにより波がある
製造業全体20〜22480万円機械設計より少なめ
商社20472万円残業時間は意外と少なめ
事務職14.3350万円基本的に定時退社

機械設計職の残業時間は他業界と比較して特別多いわけではありません。年収水準はIT業界よりやや高めです。商社や一部製造職と同等水準に位置します。

私は今まで3社経験していますが、3社とも上記の表より平均残業は多いです。

現職では月40時間で36協定の範囲内(月45時間)で残業が認められています。36協定特別条項で720時間/年は認められているので、前職では月50時間ほど残業をしていました。

調査では少なく残業を申請してしまいがちなので、本当の残業実態と少し乖離があるのかもしれません。

年収と残業の相関性を検証

ここで実際の残業時間がどれくらい年収に影響があるかを計算してみました。

基本給25.3万円の場合:基本給25.3万円×(12か月+ボーナス4か月)+残業56万円(下記残業計算より)=年収460万円(国税庁の値を参照)で計算
残業単価:25.3万円×1.25÷170時間/月 ≒ 1,861円

月残業時間25時間(平均20〜30時間)15時間(残業10時間削減)
月残業代46,525円27,915円
年間残業代56万円34万円

毎月10時間残業時間が違っても、年間残業代は22万円しか変わらないことが分かります。

残業時間は変わらず月25時間で、基本給が10万円増えて35.3万円になった場合、年間残業代は78万円となり22万円しか増えませんが、年収は643万円となるため年収差額は183万円となります。

年収を上げたいなら、単に残業の多い職場を選ぶのではなく、基本給や業績連動手当の構成比を確認することが重要です。

機械設計職に残業時間の傾向はあるのか?

近年の機械設計業界では、働き方改革の影響により残業時間は全体的に減少傾向です。とくに大手企業では法令遵守の観点から月45時間以内に収めるケースが一般的になってきました。

ただし、年度末やプロジェクトの納期前などは残業が増える傾向にあります。構造的に繁忙期が集中するため、業務量が一時的に膨らむことは避けられません。

企業規模や下請け構造によっても残業時間には差があります。元請け企業はスケジュール管理の裁量がある一方で、下請け企業では顧客対応に追われて長時間労働が常態化する例も見られます。

また、設計プロセスの効率化や標準化が進んでいる企業では、残業を抑制しながら業務を回す体制が整っています。ライフワークバランスを重視するなら、こうした業務環境もチェックすべきポイントです。

転職時には求人票だけで判断せず、実際の残業実態や働き方についても確認しましょう。裁量労働制や見込み残業の有無が、実質的な労働時間に大きく影響するためです。

【年齢別】機械設計職の平均年収の推移

機械設計職の年収は、年齢と共に上昇していく傾向があります。これはスキルの蓄積やマネジメント経験の増加によるものです。以下は、DODAが公開している年齢別の平均年収データです。

年齢層平均年収
20代417万円
30代539万円
40代634万円
50代〜711万円

30代〜40代で年収が大きく伸びる理由

設計職としてのキャリアが本格化するのは30代以降です。構想設計や仕様検討、客先との折衝など、上流工程に関与することで評価が上がりやすくなります。

  • 設計のスピード・精度が向上し、社内評価が上がる
  • リーダーや後輩育成の役割を担うようになる
  • プロジェクト全体のマネジメントを任される機会が増える

とくに40代前半は、転職市場においても「経験豊富な即戦力」として最も評価されやすい年代です。

私も30代に年収が大きく伸びました。

実務経験から設計業務を網羅できるようになり、一人で物件を任されることもありました。また簡単なマネジメントも任されるようになり、上司からの印象も大きく変わったのではないかと思っています。

50代以降は年収が横ばい傾向に

50代になると、役職の有無や企業規模によって年収の伸び幅に差が出てきます。課長・部長などの役職に就いていれば年収800万円を超えるケースもありますが、そうでない場合は年収が頭打ちになる可能性もあります。

また、中小企業では50代になっても年収600万円台で安定する人も多く、成長環境にいるかどうかが重要になります。

年齢と年収に相関はあるが、決定打ではない

同じ40代でも、以下のような要素で年収には大きな差が出ます。

  • 企業規模(大手メーカーと中小企業では年収が200万円以上違うことも)
  • 役職の有無(一般職と課長職では100万〜300万円の差)
  • 転職経験・キャリアの一貫性
  • 専門性(CAE・自動化・安全設計など)

つまり、年齢だけで年収が自動的に上がるわけではありません。戦略的なキャリア形成と環境選びが、収入の伸びに直結します。

【まとめ】機械設計職の年収と残業の関係性

機械設計職の平均年収は500〜600万円、残業時間は月20〜30時間程度が相場です。これは他業界と比較しても高めの水準にあり、一定のワークライフバランスを確保しながら収入を得られる職種といえます。

年収の高さは、残業量よりも専門性・スキル・需要の強さによって決まります。つまり、残業が多いから年収が高いというわけではありません。構造的には比例しにくく、むしろ基本給や職責による差が大きな要因となります。

年収だけでなく、製品の上流工程から携われる「やりがい」や、「モノづくりの中核に関わる責任感」など、金額以上の価値を感じている技術者も多いのが特徴です。

参考文献・出典

  • 厚生労働省「職業情報提供サイト jobtag」
  • 国税庁「民間給与実態統計調査」
  • doda、マイナビ転職等の業界調査

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